帝国データバンクが発表した「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年10月)によると、2026年10月の食品値上げは3,153品目に達したそうです。
特に「酒類・飲料」が1,399品目と最多を占め、発泡酒や第三のビール、焼酎などの値上げが重なっています。
毎日の営業の中で、仕入れ価格の変動を実感されている方も多いのではないでしょうか。
私も現場に立っていた頃、こうしたニュースが出るたびに、メニューの書き換えや仕入れ先への確認に追われていたことを思い出します。
値上げそのものも大きな課題ですが、現場にとって本当に負荷がかかるのは、その「周辺の作業」ではないかと感じています。
仕入れ値が変わるということは、納品書の数字を確認し、原価率を計算し直し、ドリンクメニューの価格を改定する作業が発生することを意味します。
飲食店にとって、こうした事務作業は営業後の限られた時間で行われることがほとんどです。
「仕入れ価格が上がったから、メニューも一律で10円上げる」
そう簡単に割り切れるものではありません。
どのお酒を、どのルートから、いくらで仕入れているのか。
その全体像を把握すること自体が、日々の忙しさの中でどれほど難しいか、身をもって知っています。
一方で、この状況は飲食店側だけの問題ではありません。
商品を届けてくれる卸業者の現場でも、同じように大きな摩擦が生じています。
価格改定の時期になると、卸の事務所では、取引先ごとに異なる価格設定を手作業でシステムに打ち直す作業に追われます。
「いつも通りの注文」と書かれたLINEやFAXの文字を読み解き、変更後の価格が正しく反映されているかを何度も確認する。
誰かがサボっているわけでも、怠慢なわけでもありません。
ただ、価格が変わるという一つの出来事に対して、あまりにも多くの「人の手」が動かざるを得ない構造になっていると感じます。
この構造がある限り、値上げの波が来るたびに、飲食店も卸も、ただ消耗してしまうのではないかと危惧しています。
一方で、今回の調査では少し明るい兆しも示されています。
11月の値上げは1,469品目と、9〜10月に比べて大幅に減少する見通しです。
年内の値上げラッシュは、この10月をピークに一旦収束していくと言われています。
これは、ただ「値上げが落ち着いてよかった」という話だけではありません。
日々の価格対応に追われる状態から、少しだけ息を抜いて、中長期的な視点で「仕入れの仕組み」を見正す好機が訪れる、ということでもあるはずです。
嵐のように価格が変わる時期は、目の前の対応で手一杯になります。
しかし、状況が落ち着くこれからの時期こそ、自店の仕入れルートや管理方法を整理するのに適したタイミングなのではないでしょうか。
私たちは、この状況を「誰かが我慢して乗り切るもの」にしたくないと考えています。
飲食店の仕入れを一つの画面で整理できるようにすること。
卸業者が、バラバラに届く注文と価格変更の処理を、人の記憶に頼らず自動で進められるようにすること。
そうした、人と人との「間」にある構造を整理し直すことで、値上げという外的な変化に対しても、無理なく適応できる土台が作れると感じています。
もちろん、システムを導入すればすべての問題が解決するわけではありません。
それでも、現場が「確認と修正」に追われる時間を少しでも減らし、本来の仕事に集中できる環境をつくることは、今からでも始められる一歩です。
値上げラッシュのピークを越えようとしている今、私たちはこれからの現場をどう守り、強くしていくべきなのか。
皆さんと一緒に、考えていきたいと感じています。

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。