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野菜価格見通し2026年9月の動向から考える、仕入れの構造的課題

2026年8月28日、農林水産省から「野菜の生育状況及び価格見通し(令和8年9月)について」が公表されました。これによると、2026年9月の野菜価格見通しは、品目によって大きく二極化しそうです。

東京都中央卸売市場に出荷される主要野菜のうち、きゅうりとトマトは平年を上回る価格で推移する見込みとのこと。一方で、ばれいしょとたまねぎは平年を下回る見通しとなっています。

こうしたニュースを目にするたび、飲食店を15年やってきた身としては、「じゃあ、うちの店の明日の仕入れ値はいくらになるのか」という、切実な問いが頭をよぎります。


「平年」と「現場」の間にある温度差

ここでいう「平年」とは過去5か年の平均を指し、「平年並み」は平年比90%以上110%以下の範囲と定義されているそうです。

しかし、現場の飲食店にとって、この数字がそのまま日々の仕入れ価格になるわけではありません。にんじんは9月前半に平年を下回り、後半は平年並みになる。はくさいやキャベツ、ほうれんそう、ねぎ、ブロッコリーは生育が順調で平年並みで推移する。

そう言われても、仕入れ先や配送ルート、取引の規模によって、手元に届く価格は全く異なるものになります。

国が発表する統計データと、毎日店に届く伝票の数字。この間にある「見えない差」こそが、多くの飲食店を悩ませている原因ではないかと感じています。


なぜ、今日の仕入れ値がすぐに答えられないのか

飲食店を運営していると、仕込みやメニュー作成のために「今日、この食材はいくらなのか」を正確に把握したい場面が多々あります。原価率の管理は、経営の生命線だからです。

にもかかわらず、多くの現場では、納品伝票が届くまで正確な価格が分かりません。

朝、バラバラの形式で届く価格表を一枚ずつ確認したり、卸業者に電話で問い合わせたり。そうした作業に追われているうちに、仕込みの時間は過ぎていきます。

情報が溢れている時代のはずなのに、なぜ仕入れの現場では、これほど価格が見えにくいのでしょうか。これは、誰かがサボっているからではなく、情報が流れる仕組みそのものに原因があるように思えます。


卸業者もまた、相場の波に揉まれている

この問題は、卸業者が価格を不透明にしているからではありません。

卸の現場に入って分かったのは、彼らもまた、産地の天候や相場の急変動に振り回されているという現実です。

特にきゅうりやトマトのように価格が高騰する時期は、少しでも安く、質の良いものを仕入れようと奔走しています。その調整作業や、取引先ごとの価格設定を人の手で行っているため、情報を整理して飲食店に伝える余裕が物理的にないのです。

電話やFAX、LINEが混在する中で、毎日手探りで価格を決定し、入力する。卸の現場もまた、アナログな情報構造のなかで疲弊しているのではないでしょうか。


仕組みで価格の不透明さを解消できるか

私たちは、この「情報のズレ」を、個人の頑張りではなく構造として整理し直したいと考えています。

複数の仕入れ先からの価格情報が、毎日自然にまとまって比較できる状態。そして、発注から納品までのデータが、途中で途切れることなく一元化されている状態。

そうした仕組みがあれば、飲食店は無駄な確認作業から解放され、卸業者も余計な問い合わせに追われずに済みます。双方が「判断すべきこと」だけに集中できる環境が、作れるはずです。

2026年9月、野菜の相場は上がったり下がったりと慌ただしく動きそうです。この変化の波を、現場の気合いだけで乗り切るのではなく、少しでも無理のない形で受け止めるための構造とは何か。今日も現場の数字を見つめながら、考え続けています。

#野菜価格見通し#仕入れ相場#食材仕入れ#卸流通#原価管理

出典

KURUマート 代表
KURUマート 代表
飲食店15年 → 卸・流通の現場へ

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。

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