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米に関するマンスリーレポートから考える、高止まりする米の取引価格と現場の歪み

農林水産省が2026年8月19日に公表した「米に関するマンスリーレポート(令和8年8月号)」が手元にあります。

そこには、令和7年産米の令和8年7月の相対取引価格が、全銘柄平均で玄米60kg当たり32,486円となり、前月比で4%上昇したとあります。

秋の新米シーズンを前に、新米の仕入れ価格がどうなるのか、多くの飲食店や卸業者が動向を注視しているのではないでしょうか。

しかし、この数字を見て、現場の私たちはどう受け止めるべきなのか。
「市場の価格が上がっているから、仕入れ値が上がるのも仕方ない」
そう単純に納得できない違和感が、現場にはあります。

一方で、スーパーの店頭価格(POSデータ)は2026年1月以降下落基調にあり、8月10日〜16日の平均販売価格は5kg当たり3,191円と、前年同期比で613円下がっているというデータもあるからです。

店頭では安くなっているのに、なぜ私たちの仕入れ値は下がらないのか。
その裏側にある構造を、少し掘り下げてみたいと思います。


新米仕入れ価格の前に、在庫はどこにあるのか

レポートを細かく見ていくと、不思議な事実が浮かび上がります。

令和8年6月末時点の民間在庫量は194万玄米トンと、前年同月比で72万玄米トンも増えています。

特に、卸や小売が持つ販売段階の在庫は51万玄米トン。
例年の同時期(30万〜40万トン)に比べても、かなり高い水準にあります。

在庫は十分に蓄えられている。
それなのに、現場の飲食店からは「米の仕入れが高くて困っている」という声が消えず、卸業者も「これ以上は価格を下げられない」と頭を抱えています。

このねじれは、いったいどこから生まれているのでしょうか。


誰も悪くないのに、価格が下がらない理由

米の価格が決まる背景には、単なる需給バランスだけではない、流通の「構造」があるように感じています。

卸業者の立場から見れば、価格が高い時期に仕入れた在庫を、急に安く売るわけにはいきません。
また、日々のバラバラな注文方法や、手作業での打ち直しによる事務コストも、価格を下げる余地を奪っています。

飲食店側も、毎日の仕込みや営業に追われ、仕入れ先を比較検討する余裕がほとんどありません。
「いつもの業者だから」という信頼と慣れが、管理を代替してしまっているのが現実です。

これは、どちらかが怠慢だから起きているわけではないと感じています。
お互いが今のやり方を維持しようとするだけで、見えないコストが積み上がっていく構造になっているのではないでしょうか。


情報を遮る、紙と手書きの「見えない壁」

なぜ、在庫があるのに価格が現場に反映されないのか。
その背景には、飲食店と卸の間にある「情報の流れ」の詰まりがあるように思えます。

多くの現場では、今でもLINEやFAX、あるいは電話で注文が飛び交っています。
卸業者はそれを、手作業で自社のシステムに打ち直している。

お互いが「今、市場で何が起きているか」をリアルタイムに把握する仕組みがないため、どうしても過去の慣習や、安全マージンを乗せた価格設定に頼らざるを得なくなります。

この「人が頑張ってつないでいる構造」そのものが、価格の柔軟性を失わせているのではないかと考えています。


仕組みが変われば、現場の選択肢はどう変わるか

新米の時期が近づくと、どうしても価格の交渉や仕入れ先の変更に目が向きがちです。

しかし、本当に見直すべきは、一時的な交渉ではなく、取引の構造そのものかもしれません。

もし、日々の発注や価格の比較がもっと透明になり、卸側の事務負担も軽くなれば、市場の変動はもっと自然に現場へ還元されるはずです。

私たちは、そうした「誰も無理をしない構造」をどうすれば作れるのかを、日々考えています。

今年の秋、皆さんの店の手元に届く新米の価格は、本当に妥当なものなのでしょうか。

#米に関するマンスリーレポート#新米仕入れ価格#民間在庫量#相対取引価格#仕入れ管理

出典

KURUマート 代表
KURUマート 代表
飲食店15年 → 卸・流通の現場へ

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。

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