KURU

コメ在庫が過去最大となる中で、飲食店の米仕入れ価格をどう見通すべきか

農林水産省が2026年8月19日に公表した最新のレポートを見て、少し考え込んでしまいました。

2026年6月末時点の主食用米等の民間在庫量が243万トンに達し、過去最大を記録したそうです。

一方で、令和7年産米の2026年7月の相対取引価格は、全銘柄平均で玄米60kgあたり32,486円と、前年同月比で21%も上昇しています。

「在庫はあるのに、なぜ仕入れ価格は下がらないのか」

飲食店として15年以上現場に立ち、その後、卸・流通の内側にも関わってきた身として、この数字にはどうしても現場の違和感が重なります。

スーパーの店頭価格は下がっているのに、卸から届く見積もりは高止まりしたまま。
このギャップはどこから生まれているのでしょうか。


コメ在庫が過去最大でも、価格が下がらない現場の感覚

一般の消費者向け、つまりスーパーなどの店頭では、2026年8月上旬のコメの平均価格が5kgあたり3,220円となり、同年2月のピーク時から約23%下落しているというデータもあります。

しかし、飲食店の現場にいると、その値下げの実感はほとんどありません。
「米 相対取引価格 2026年8月」の動向を見ても、卸売業者が抱える在庫や仕入れコストは、そう簡単に飲食店の納品価格に反映されないのではないか、と感じています。

なぜなら、業務用米の取引は、家庭用のスーパーのようなスポットの価格変動とは異なる論理で動いているからです。

卸業者としても、高く仕入れた在庫を抱えている期間があり、それを急に値下げすることは経営リスクに直結します。
お互いに顔が見える関係だからこそ、価格の交渉はいつも慎重になり、結果として変化が遅れるという構造があるように思えます。


「適正価格」をだれも確信できないという摩擦

飲食店と卸の間で、何が摩擦を生んでいるのか。

それは、「今、このコメをいくらで取引するのが正解なのか」が、誰にも見えなくなっていることではないでしょうか。

2025年7月から2026年6月までの年間需要実績(速報値)は683万玄米トンと、過去最低水準に落ち込んでいる一方で、相対取引価格は前月比4%上昇など、高値で推移する。
こうした複雑な状況の中で、卸側も、飲食店側も、手探りで価格を決めています。

価格交渉のたびに、電話やLINEで「もう少し安くならないか」「これ以上は厳しい」というやり取りが交わされます。

これ自体が、現場の大きなエネルギーを奪っているのではないかと感じています。

どちらかが悪いわけではありません。市場のデータと、目の前の取引価格を結びつける「基準」が共有されていないことが、お互いの負担を増やしているのではないでしょうか。


事務作業に追われ、交渉のゆとりを失う構造

現場をさらに苦しくしているのは、日々の雑務の多さです。

飲食店も卸業者も、毎日の発注や受注処理、請求書の確認に追われています。
飲食店側はバラバラの手段で注文を送り、卸側はそれを手作業で社内システムに打ち直す。

このような「人が頑張ってつないでいる構造」のま目で、どうして価格の見直しや、より良い仕入れの交渉に時間を割くことができるでしょうか。

目の前の作業に追われるあまり、
「どの米を、どのタイミングで、いくらで仕入れるべきか」
という本質的な判断が後回しになってしまう。

それは、現場の努力が足りないからではなく、忙しすぎる構造そのものに原因があるのではないかと、私は考えています。


仕組みを整えた先に、何が見えるのか

私たちは、システムを導入すればすべての問題が解決する、とは考えていません。

ただ、人がやらなくてもいい作業を仕組みに移し、判断すべきことだけに集中できる環境がつくれたら、飲食店と卸の関係はもっと変わるのではないかと思っています。

飲食店 米 仕入れ価格が高止まりする今だからこそ、目の前の「作業」を整理し、お互いにとって無理のない取引のあり方を模索する。

そのための第一歩は、システムを新しくすることではなく、今ある業務の「摩擦」に気づくことなのかもしれません。

みなさんの現場では、今のコメの仕入れ価格について、どのような話をされているでしょうか。

#コメ在庫過去最大#米相対取引価格2026年8月#飲食店米仕入れ価格#農林水産省#業務用米

出典

KURUマート 代表
KURUマート 代表
飲食店15年 → 卸・流通の現場へ

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。

所在地
〒162-0813 東京都新宿区東五軒町2-16 DeLCCS神楽坂 1F
電話
03-4400-9771
メール
contact@kurubehind.com