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業務用米の精米価格が外食向けに高止まりする中で、現場と卸が向き合う構造

農林水産省が発表した「令和8年9月の米穀流通の動向(集荷、販売、民間在庫)」を見ると、令和8年産米の全国集荷数量は98.9万玄米トンとなり、前年より増加しています。

全体としての民間在庫量も回復傾向を見せており、供給面での深刻な緊張状態が少しずつ和らぎつつある兆しを感じます。

外食や流通の現場に関わる人間として、こうした数字の好転は素直に安堵を覚える変化だと捉えています。


精米価格の外食向け高止まりが示す、現場の現実

一方で、同じ動向の中で示された精米販売価格の動きには、現場ごとの複雑な事情が色濃く表れています。

小売事業者向けの精米販売価格が前年同月比81.4%まで落ち着いたのに対し、中食・外食事業者等向けは前年同月比109.5%と高止まりを続けています。

米全体の出回り量が増えているにもかかわらず、飲食店が手にする業務用米の価格はすぐには下がらない。

仕入れ原価の上昇に悩む飲食店にとっては苦しい状況ですが、これは単に「卸側が価格を下げない」という単純な話ではないのではないかと感じています。


飲食店と食材卸、それぞれの立場から見えているもの

飲食店側の視点に立つと、主食である米の原価率は店舗経営に直接響きます。

中食・外食向けの精米販売数量が前年同月比91.4%にとどまっている背景には、価格上昇に伴う提供量の見直しや、メニュー構成の苦しい調整といった現場の試行錯誤が窺えます。

一方で、卸や精米事業者の立場に目を向けると、別の構造が見えてきます。

集荷量が増えたとはいえ、前年までの高値で仕入れた在庫の手配や、配送コストの上昇、店舗ごとの細かな納品対応など、現場の負担は依然として残っています。

単に原料の玄米が増えたからといって、外食向け精米の納価を即座に引き下げることは構造的に難しいのが実状ではないでしょうか。


令和8年産米の集荷と民間在庫の回復がもたらす一歩

出荷段階の民間在庫が206万玄米トンまで積み上がってきたことは、中長期的な供給の安定という意味で間違いなく前進です。

絶対的な不足感から抜け出しつつある今だからこそ、単なる価格交渉の押し引きから一歩踏み出す機会が生まれているように感じます。

飲食店側としても「安く仕入れる」ことだけを求めるのではなく、発注のタイミングを揃えたり注文時の手作業を減らすなど、卸側の配送や集金の手間を減らす配慮ができるかもしれません。

卸側もまた、供給が安定していく中で、長く付き合ってきた飲食店に対してどのような柔軟な提案ができるかを模索し始めています。


摩擦を減らし、持続可能な調達網をつくるために

供給の不安が和らぎ始めた今、必要なのは精神論や根性論での原価抑制ではありません。

注文や配送のやり取りに残る無駄をひとつずつ整理し、お互いの現場にかかる余計な負荷を削っていくこと。

その地道な構造の見直しこそが、結果として双方の利益を守り、価格の安定にもつながっていくのではないかと考えています。

流通の動向が変わりつつある中で、私たちは飲食店と卸の間にある見えない摩擦を、どれだけ仕組みとして解きほぐしていけるでしょうか。

日々の仕入れと出荷の現場から、新しい協力の形を少しずつ作っていきたいと感じています。

#米穀流通の動向#業務用米#精米価格#外食向け#令和8年産米

出典

KURUマート 代表
KURUマート 代表
飲食店15年 → 卸・流通の現場へ

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。

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