農林水産省が公表した令和8年産の水田における作付状況(2026年9月15日時点)によると、主食用米の作付面積は136.0万haとなり、高水準だった前年産並みを維持しています。
主食用の作付がしっかりと確保されていることは、毎日の営業で米飯を出す飲食店にとっても、それを届ける卸業者にとっても、大きな安心感につながっていると感じます。
主力のお米が手に入りやすい状況は、現場にとって間違いなく前向きな兆しです。
一方で、データからは別の側面も見えてきます。
同発表による9月25日時点の主食用水稲の予想収穫量は710万5,000トンで、前年産と比べ7万6,000トンの減少が見込まれています。
作付面積が維持されているとはいえ、天候や収穫量の変動による影響はゼロではありません。
現場では「お米が確保できるか」という不安が和らぐ一方で、「仕入れ価格はどう推移するのか」という落ち着かない空気も、体感として同時に漂っているように感じます。
さらに気になるのは、主食用以外の米をめぐる構造です。
今回の調査では、飼料用米や麦、大豆などの作付面積が減少し、非主食用米全体の作付水準は低い状況が続いています。
また、加工用米や新市場開拓用米、米粉用米の作付面積も前年産から微増にとどまりました。
外食産業や仕出し、加工食品の現場では、仕入れコストを抑えるためにこうした業務用・加工用のお米が重要な選択肢となります。
しかし、その供給量が大きく増えない中では、主食用米への需要集中が続き、結果として業務用米の仕入れコスト全般を下げる選択肢が広がりづらい状況にあるのではないか、と感じています。
飲食店側としては、看板メニューである米飯の品質を落とさず、価格の上昇も極力抑えたいと考えています。
一方で卸業者側も、品質の良いお米を安定して届けたいと思いつつも、仕入れ価格や物流コストの上昇の狭間で調整に苦心しています。
どちらかが怠慢なわけでも、我がままを言っているわけでもありません。
お米の作付構造と市場の需要が噛み合いきれていないことが、現場の「摩擦」を生み出しているのではないかと感じます。
こうした状況の中で、私たちができることは何でしょうか。
安易な価格交渉や仕入れ先の変更だけに頼るのではなく、まずはお互いの業務や在庫の情報を見える化していくことが一つの手掛かりになるのではないかと感じています。
例えば、発注のタイミングを少し整えたり、月間の使用予測を卸側と共有したりするだけでも、卸側の手配コストやロスは大きく減っていきます。
個人の頑張りや対立ではなく、情報の手渡し方を少し整えること。
業務用米の仕入れ2026年に向けた課題に対して、飲食店と卸が手を取り合って「無駄を減らす仕組み」を整えていく時期に来ているのかもしれません。

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。