2026年9月17日、日本食糧新聞・電子版などの報道により、明治が冷凍食品事業から完全撤退することが明らかになりました。
1976年から50年にわたり冷凍食品を展開し、グラタンやドリア類では高いシェアを誇っていた同社。
このニュースは、多くの飲食店や卸業者にとって、単なる「定番商品がなくなる」という出来事以上の意味を持っているのではないかと感じています。
報道によると、明治は2027年3月に市販用冷凍食品の生産を終了し、茨城工場を閉鎖する予定だそうです。
すでに2023年には、主力の冷凍ピザ商品の生産を終了していました。
長年愛されてきた定番商品が姿を消すことは、現場にとって仕入れルートの再構築を迫る大きな変化です。
「いつものメニューをどう維持するか」
「代わりとなる代替商品をどこから仕入れるか」
現場を預かる立場としては、頭の痛い課題がひとつ増えたようにも見えます。
しかし、この変化は仕入れを見直し、他店との差別化を図る「機会」でもあると感じています。
誰もが使っていた定番品がなくなるからこそ、自分たちだけのオリジナルメニューに挑戦したり、新しい仕入れ先と出会うきっかけになる。
実際に、この報道をきっかけに「これを機に、自家製グラタンに切り替えて価値を高めよう」と前向きに動き出す飲食店の方々の声も、体感で少しずつ聞こえ始めています。
大きな変化の裏には、必ず新しい一歩を踏み出すチャンスが隠されているのではないでしょうか。
一方で、飲食店が仕入れ先や商品を変更するとき、そのシワ寄せがいく場所があります。
それが、受注を支える卸の現場です。
飲食店が「これまでのグラタンから、新しい代替品に変えます」と決めたとき、その連絡はどのように伝わるでしょうか。
LINEで「いつものじゃなくて、例の代替品で」と送られる。
あるいは、FAXの余白に手書きで書き添えられる。
卸の現場では、その曖昧な注文を「どのメーカーの、どの商品コードか」と、担当者が記憶を頼りに判断し、社内の古い基幹システムへ手でもう一度打ち直しています。
定番商品の終売や切り替えは、卸の現場における「属人化された入力作業」を急激に増加させる要因になり得るのです。
メーカーの撤退や、それに伴う商品の入れ替えは、これからも時代の流れとともに発生し続けるでしょう。
そのたびに、現場の誰かが記憶を振り絞り、無理をして帳尻を合わせるのか。
それとも、こうした変化が起きても、誰でもスムーズに対応できる静かな仕組みをつくっていくのか。
これは、飲食店と卸の双方が、無理なく付き合い続けるための構造の問題です。
みなさんの現場では、これから訪れる仕入れの変化に対して、どのような一歩を準備し始めているでしょうか。

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。