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農林水産省の食肉価格(8月発表)が過去最高値。そのとき現場で起きている「もう一つの高騰」について。

農林水産省が2026年8月12日に公表した「食品価格動向調査(食肉・鶏卵)」の結果を見て、やはりそうか、と深く息を吐き出しました。

全国470店舗の量販店を対象としたこの調査によると、国産の鶏もも肉は100グラム当たり156円となり、2003年8月の調査開始以来の過去最高値を更新したそうです。

国産の豚ロース肉も290円と、2カ月連続で最高値を更新しています。その一方で、国産牛肉や輸入牛肉は値下がりしているのが印象的でした。

このねじれのような現象の背景には、円安による輸入飼料価格の上昇や生産コスト高騰、そして物価高に伴う消費者の節約志向による需要集中があると言われています。

しかし、私が本当に気になっているのは、この公表された数字そのものではありません。この「鶏肉 豚肉 過去最高値 2026」という現実が、飲食店と卸業者の現場でどのような摩擦を生んでいるのかということです。


「うちの店の仕入れ値」を、私たちは即答できるだろうか

飲食店を15年以上やってきた経験から、こうしたニュースが出たときの現場の空気は容易に想像がつきます。

「また肉が上がったらしい」

そう思いながらも、日々の仕込みや接客に追われ、自店の正確な仕入れ価格の変化をリアルタイムで把握できている店は、実はそれほど多くないのかもしれません。

月末になって請求書が届き、初めて「今月はこんなに原価が高かったのか」と驚く。慌ててメニューの価格改定を考えようにも、どのメニューをいくらにすべきか、手元の伝票をひっくり返して計算する時間すら足りない。

仕入れ価格が上がること自体も苦しいですが、それ以上に「今、いくらで仕入れているのか」が霧の中に隠れてしまうことのほうが、経営にとっては健全ではないと感じています。


値上げを伝える、卸業者の見えない消耗

一方で、商品を届ける卸業者の現場でも、別の意味で深刻な摩擦が起きています。

仕入れ価格が上がれば、卸業者は飲食店に対して「価格改定のお願い」をしなければなりません。しかし、この連絡業務が、現場のスタッフにとって途方もない負担になっているのです。

取引先ごとに異なるシステムを使っていたり、ある店にはLINE、ある店にはFAX、別の店には電話で伝える。さらに、飲食店側から「どうしてこんなに上がるのか」「何とかならないか」という問い合わせが個別に届きます。

「店が悪いわけでも、業者が怠慢なわけでもない」

誰も悪くないのに、ただ価格を1円、2円と改定してシステムに入力し直すだけの作業に、信じられないほどの時間と精神的なエネルギーが吸い取られていく。この構造自体が、現場を疲弊させているのではないでしょうか。


情報を手でつなぐ限界が、ここで露わになる

牛肉が下がり、鶏肉や豚肉が上がる。こうした目まぐるしい市場の変化に対して、現場が「力技」で対応しようとすると、必ずどこかで綻びが出ます。

変更された価格の入力ミス。古い価格のまま届いてしまう請求書。それに対する、お互いの確認作業の往復。

原価そのものが上がるのは、世界的な情勢や円安が原因であり、一企業の手には負えません。しかし、その変化に対応するための「情報のやり取りのコスト」は、仕組みによって減らせるはずです。

もし、価格の変更がスムーズに共有され、飲食店側も毎日の原価の推移を自然に確認できるようになり、卸業者も一件ずつの価格打ち直しから解放されるなら。

私たちは、価格高騰という大きな波の前で、もう少し冷静に次の手を打てるようになるのではないかと感じています。


今、現場で本当に向き合うべきなのは、仕入れ値の数字そのものなのでしょうか。

それとも、その変化に振り回されて、本来やるべき「料理」や「顧客に向き合うこと」に集中できなくなっている、この業務の構造そのものなのでしょうか。

答えを急ぐのではなく、まずは目の前の現場の摩擦を一つずつ紐解いていきたいと考えています。

#食品価格動向調査食肉#過去最高値2026#食肉価格高騰#飲食店原価管理#卸業者の現場

出典

KURUマート 代表
KURUマート 代表
飲食店15年 → 卸・流通の現場へ

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。

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