2026年9月、日本銀行は政策金利を1.00%程度から1.25%程度へ引き上げることを決定しました。
この「金利上昇」というニュースは、私たちのような現場を預かる身にとって、決して他人事ではありません。
帝国データバンクが2026年9月18日に公表した調査によると、企業の借入金利が現状から0.25%上昇した場合、有利子負債を抱える企業1社あたり平均で年間46万円の支払利息負担が新たに発生するそうです。
この数字を前にして、私たちは現場でどのように身を構えればよいのでしょうか。
今回の調査を見ていて、少しホッとする部分もありました。
それは、コスト高を背景とした価格転嫁が進み、企業の収益力が改善しつつあるという点です。
かつてのように「値上げは悪」とされ、すべてを現場が被るしかなかった時代から、少しずつ変わりつつあるのを感じています。
適切な価値に対して、適切な価格をいただく。
この健全な循環が、飲食店でも卸の現場でも、少しずつ受け入れられ始めているのではないでしょうか。
しかし、手放しでは喜べない現実も横たわっています。
同じ調査では、金利上昇によって企業の経常利益が平均1.9%押し下げられると試算されています。
新たに1.6%、約2,700社が黒字から経常赤字へ転落する見通しだという指摘もあります。
年間46万円。
月々に直せば約4万円弱の負担増です。
数字だけを見れば小さく思えるかもしれません。
しかし、原材料費や人件費の高騰と戦いながら、薄氷の利益を残している飲食店や卸業者にとって、この「見えないコスト」の追加は決して小さくない負担です。
銀行からの借り入れに依存せざるを得ない構造そのものが、今、静かに牙をむき始めていると感じています。
では、現場で何ができるのでしょうか。
ただ「仕入れ値を下げる」とか「従業員のシフトを削る」といった、現場をすり減らす対策には限界があります。
大切なのは、資金繰りという数字の裏にある「業務の無駄」に目を向けることではないでしょうか。
例えば、
・FAXやLINEで届くバラバラな注文を、手作業で打ち直している時間
・毎日、何枚もの紙の納品書をExcelに手入力している時間
・確認の電話一本にかかる、お互いの手間
こうした「お金を生まない作業」に、どれだけの時間と人件費を支払っているか。
金利負担という外部要因をコントロールすることはできません。
しかし、自社の中にある「構造の歪み」を整えることは、今すぐにでも始められるはずです。
私たちの周りでも、少しずつ変化を起こしている人たちがいます。
これまでの慣習を一度立ち止まって見直し、人が頑張るのではなく、仕組みで解決しようとする動きです。
業務を整理し、無駄な摩擦をなくすことで、手元に残る時間と資金の「余白」が生まれる。
その余白こそが、これから先の金利上昇や、予期せぬ環境変化に耐えうる本当の防衛策になるのではないかと感じています。
誰が悪いわけでもない、この構造の中で。
私たちは、次の時代をどう生き抜くための「仕組み」を整えていけるでしょうか。
本記事は、KURUチームが
実際の飲食店運営・流通現場での経験をもとに
構造的な課題を整理したフィールドノートです。

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。