農林水産省が2026年10月20日に発表した情報によると、インドネシア政府による飲食料品等へのハラール認証義務化の適用開始日が延期されたそうです。
当初予定されていた2026年10月18日から2年延期され、新たな適用開始日は2028年10月18日となりました。
企業や業界団体からの「準備期間が足りない」という要望を受けた措置とのことですが、現場で仕入れや流通に関わる立場としては、どこか安堵と身の引き締まる思いが交差するのを感じています。
今回の延期は、海外対応や多様な食文化への適応を目指す飲食店や卸業者にとって、決してマイナスではないと考えています。
ハラール対応は単に食材を差し替えるだけでなく、原材料の確認から保管、さらには証明書の確認まで、多くの業務が発生するからです。
準備時間が確保できたことで、より無理のない形で調達ルートを模索できる機会が増えたと言えます。
一方で、現場の業務が忙しいことに変わりはありません。
日常の営業に追われる中で、制度の変更に対応するための情報を集め続けるのは、体感としても相当な負担だと感じています。
ハラール食材のような特殊な規格を扱う際、特に課題となりやすいのが仕入れと受注の現場での情報共有です。
飲食店側としては、どの食材が対応していて、どれが証明書付きなのかを正確に把握したい。
しかし、卸側に届く注文が電話やFAX、LINEなどでバラバラに届いている状態だと、商品の仕様確認や適合の判断はすべて担当者の記憶や手作業に頼ることになります。
「この商品はハラール対応だったか」
「以前の仕様と変わっていないか」
こうした確認作業が人によってばらつくと、結果として現場の判断ミスや確認待ちの時間が増えてしまいます。
誰かが悪いわけではなく、情報が整理されないまま現場が頑張ってつないでいる構造そのものに原因があるのではないかと感じています。
農林水産省も emphasized しているように、今回の措置は制度の廃止ではありません。
2028年10月18日の義務化に向けた対応準備の継続が求められています。
この2年間という猶予を、単に「まだ時間がある」と先送りするのか。
それとも、仕入れや受注の業務フローそのものを整理し、情報がスムーズに渡る仕組みをつくる期間にするのか。
日頃の受発注がアナログなままだと、規格が複雑な食材を扱うたびに現場の負担は増えていくばかりです。
担当者が変わっても、新しい規格が登場しても、混乱せずに回る状態をどう作っていくかが問われている気がします。
インバウンドの増加や多様なニーズへの対応は、飲食店にとっても卸業者にとっても大きな可能性を秘めています。
だからこそ、新しい取り組みを始める際に「現場の根性」で乗り切るのではなく、負担を減らすための環境づくりが不可欠ではないでしょうか。
2028年の本格導入に向けて、私たちは日々の発注や受注、そして情報のやり取りをどうシンプルに変えていけるのか。
目の前の営業を守りながら、一歩ずつ現場の構造を整えていく試みを、これからも続けていきたいと考えています。

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。