食材が届いたら、納品書と現物を突き合わせる。
当たり前のことです。
けれど、実際にやっている店は
思ったより少ない、というのが現場の印象です。
納品は、朝か昼前に来ます。
その時間、厨房は仕込みの真っ最中です。
冷蔵に入れる。
仕込みを進める。
発注の電話が鳴る。
そこに、業者が段ボールを置いていきます。
納品書は、その上に乗ったままになります。
確認しないと決めたわけではなく、確認する隙がない。
これが実態に近いと思います。
多くの店では、納品書は後でまとめて処理されます。
一日の営業が終わって、
段ボールはもう畳まれていて、
中身は冷蔵庫の中に散らばっている。
その状態で納品書を見ても、
確認のしようがありません。
だから、数字はそのまま通ります。
月末に請求書が来て、
金額を見て、
「まあ、こんなものか」と思う。
これで一か月が終わります。
面白いのは、
卸の側もこれを分かっているということです。
「あの店は検品しない」
そう分かっていても、
だからといって手を抜くわけではありません。
むしろ逆で、
間違いが後から発覚したときの手間が大きいので、慎重になります。
出荷前に二重で見る。
担当者が最後にもう一度見る。
つまり、
店が確認しない分を、業者側の人手で埋めています。
その人件費は、
どこかで価格に乗るしかありません。
店が怠けているわけではない。
業者が雑なわけでもない。
ただ、
この3つが重なると、
検品は構造的に省かれます。
人の意識では、まず解決しません。
現物を数える作業そのものは、
なくすことができません。
でも、
「何が、いくつ、いくらで届く予定なのか」
これが届く前に分かっていれば、
確認は数秒で終わります。
照合ではなく、確認になるからです。
順番の問題ではないかと感じています。
検品をしていないことを、
責めても仕方がない。
そもそも、できる形になっていない。
まずそこから見直すべきではないでしょうか。

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。