2026年10月2日、農林水産省から令和8年度におけるバターおよび脱脂粉乳の輸入枠数量に関する検証結果が公表されました。
外食などの業務用を中心にバターの需要が堅調に推移している一方で、令和8年度末における国内のバター在庫量は約4.4万トンと一定水準を維持する見通しが示されています。
現時点で欠品する恐れがあるとまでは評価できないとして追加の輸入枠設定は見送られましたが、この決定は現場にどのような影響をもたらすのでしょうか。
外食の現場でメニューが活気づき、業務用バターの需要がしっかりと伸びていること自体は、非常に明るい兆しだと受け止めています。
お客様の客足が戻り、料理やデザートの価値を高める食材としてバターが選ばれている証でもあるからです。
今回の検証でもWTO枠(生乳換算で13.7万トン)におけるバターの輸入枠は8,000トン〜約10,000トンに維持され、独立行政法人農畜産業振興機構(ALIC)を通じた毎月の入札が継続されます。
急な品切れのリスクが低いという安心感は、飲食店にとっても食材卸業者にとっても、安定した営業を続ける上での大きな支えになると感じています。
一方で、追加の輸入枠が設定されないということは、仕入れ価格の急激な下落を期待しにくい状態が続くことも意味しています。
飲食店側では、高止まりする原材料費をどのようにメニュー価値や価格に反映させるかという悩みが尽きません。
同時に、食材を届ける卸の現場においても、仕入れ価格の変動リスクを抱えながら適正な販売価格を提示し続ける難しさがあります。
相場そのものを現場の努力だけで変えることはできませんが、だからこそ双方の現場で生じる細かな摩擦が気になります。
仕入れ価格が安定しづらい時期ほど、現場における「確認や手間のコスト」が重くのしかかってきます。
飲食店では日々の発注確認や価格の読み替えに時間を取られ、料理に向き合う時間が削られてしまうことがあります。
卸の現場でも、LINEやFAX、電話で届くバラバラな注文を人が手作業で社内システムに打ち直し、品切れや価格変更の連絡に追われる光景が少なくありません。
価格の壁を越えるのが難しいからこそ、こうした人が頑張ってつないでいる業務構造そのものを見直す余地があるのではないかと感じています。
市場の需給バランスが保たれている今だからこそ、現場の運用の無駄を減らしていく絶好の機会なのかもしれません。
注文や在庫の情報が誰にとっても分かりやすく整理され、余計な手作業から解放されれば、突然の相場変動や需要の変化にも落ち着いて対応できるようになります。
飲食店も卸業者も、無理な負担を重ねずに報われる形をどう作っていくか。
みなさんの現場では、この価格や需給の波に対して、どのような一歩を試みられているでしょうか。

飲食店として15年以上現場に立ち、その後は卸・流通の内側にも入りました。どちらの立場も見てきたからこそ気づいたことを、ここに書きとめています。